国立市平和都市条例 (案)
前文
日本国憲法第97条は、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」と定めています。2006年より10年間のまちづくりのあり方を現した「国立市第4期基本構想」では、この精神を具現化するための方策として、「わたしたちくにたち市民は、平和に生き、「人間を大切にするまち」を再認識して、「文教都市くにたち」のあるべき姿を見つめ直し、育て、生活に根ざしたものにしていきます。」という決意を表明しました。
住民の保護や安全確保は地方自治体の責任において行うものと考えられていますが、日本が2004年8月に加入した「1949年8月12日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書」(以下、「ジュネーヴ諸条約第一追加議定書」という。)および「1949年8月12日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書」などの国際人道法においては、軍人・軍用物と文民・民用物を明確に区別し、文民・民用物が軍事目標への攻撃の巻き添えになることを防ぐことが基本原則のひとつであり、この原則に沿った予防的措置を構ずることが要請されています。日本国憲法を持つわが国においては、他の国を攻撃したり、他の国から攻撃されたりすることは決してあってはならないことです。しかし、文民たる一般市民がどんなことがあっても戦火に巻き込まれないようにするために、文民・民用物が存在する住宅地や商業地域の内に軍人・軍用物の存在を許さないことが求められているのです。
2000年6月の国立市平和都市宣言には、「世界では、いまだに戦争が絶えず、核兵器使用の脅威はいぜんとして消えていません。私たちは、世界で最初の核被爆国の市民として、世界の平和の実現のために努力していく責任があります。この世に、「正しい戦争」などというものはありません。地球上に、もうこれ以上の血を流してはなりません。私たちは、あらためてこれまでの戦争と暴力のなかにたおれた多くのひとびとの悲しみと苦しみを思い、自由で平和な世界の実現のために力をつくします。新しい千年紀にあたり、私たち国立市民は、平和への強い意思を世界中のひとたちに高らかに宣言します。」とあります。わたしたちは、過去の悲惨な経験から、二度と戦争をしない憲法を勝ち獲り、平和に生きることの大切さを学んできたはずです。わたしたちは二度と再び戦争をしてはなりません。再び国民、市民の犠牲を生んではなりません。この国を、再び「戦争ができる国」にしてはなりません。そして、「戦争ができる国」を次世代に残してはなりません。
国立市平和都市宣言に謳われているように、この世に正しい戦争などというものはなく、住民の生活と環境を守るためには、平和の維持こそが唯一の有効な手段であることを確認し、ジュネーヴ諸条約第一追加議定書に規定されている「無防備地区」成立のための4条件を積極的にみたすことにより国立市平和都市宣言の精神を具現化するまちづくりを実現するために、ここに国立市平和都市条例を制定します。
第1条 (目的)
本条例は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。」と定めた日本国憲法の平和主義の理念、わが国の国是である非核三原則、およびジュネーヴ諸条約などの国際人道法の精神に基づくものである。本条例はまた、国立市平和都市宣言(2000年)および国立市議会が採択した国立市非核武装宣言(1982年)に示された理念を現実のものとするために国立市がとるべき施策および行うべき事務について規定し、平和を守るための国立市の責務を明確にすることにより、住民の生命と財産を守ることを目的とする。
第2条 (平和的生存権の保障)
1 国立市に居住するすべての人は平和のうちに生存する権利を有する。
2 平時のみならず戦時および武力攻撃予測事態や武力攻撃事態等においても、その目的の軍事、非軍事を問わず、日本国憲法の定めに反して、人権の侵害、また景観、文化環境および自然環境の破壊がおこなわれてはならない。
第3条 (市の責務)
1 国立市は戦争に関する事務をおこなわない。
2 国立市は新たな軍事施設の建設を認めない。
3 国立市は既存の軍事施設の撤去・廃止が実現するよう努力する。
4 国立市はその他第1項乃至第3項の規定に反する行為をおこなわない。
第4条 (非核政策)
1 国立市は非核三原則を遵守し、市内における核物質の製造・配備・貯蔵はもとより、その持ち込み・飛来・通過をも禁止する。
2 国立市は劣化ウラン兵器を含むすべての核兵器やその他の大量破壊兵器の製造、運搬、使用等を禁止し廃絶するための措置を、わが国ならびに関係諸国の政府、国際連合をはじめとする国際機関、関係諸団体などに働きかける。
第5条 (無防備地区の積極的運用)
1 国立市は、市内に戦闘員、移動可能な兵器および軍用設備が存在しない状態が維持されるよう努める。
2 市内に固定された軍事施設がある場合、それらを敵対的な目的に使用してはならない。
3 国立市は、敵対行為を認めない。
4 国立市においては、軍事行動を支援する活動をおこなってはならない。
5 ジュネーヴ諸条約第一追加議定書第1条に規定される事態に際しては、同第59条の規定に基づき、第1項乃至第4項に示された4条件をみたす地域を、国立市は無防備地区と宣言する。
第6条 (平和行政の推進・予算の計上)
国立市は恒久的な世界平和の実現のために次の各号の事業を実施する。
(1)平和の確立および推進のための国内および国際交流・協力事業、特に他の地方自治体との交流・協力やアジア地域の諸都市との平和友好関係の維持
(2)学校教育および生涯教育・市民教育の場での平和教育の充実・推進および平和意識の啓発・広報活動
(3)平和記念物の保存・展示および平和推進のための拠点となる施設の整備
(4)平和の確立および推進のために市民がおこなう事業に対する援助および助成
(5)その他、以上の各号に準じ条例の趣旨に沿う平和の確立および推進のための事業
2 国立市は前項各号の事業の実施に必要な費用を毎年予算に計上する
第7条 (条例の施行細則)
本条例の施行に必要な事項は、別途規則で定める。
付則
1.本条例は公布の日から施行する。
2.本条例は公布後すみやかに、英語およびフランス語の翻訳文を付けて、国際連合事務局およびわが国と外交関係のある諸外国の在日公館に送付する。
日本国憲法第97条は、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」と定めています。2006年より10年間のまちづくりのあり方を現した「国立市第4期基本構想」では、この精神を具現化するための方策として、「わたしたちくにたち市民は、平和に生き、「人間を大切にするまち」を再認識して、「文教都市くにたち」のあるべき姿を見つめ直し、育て、生活に根ざしたものにしていきます。」という決意を表明しました。
住民の保護や安全確保は地方自治体の責任において行うものと考えられていますが、日本が2004年8月に加入した「1949年8月12日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書」(以下、「ジュネーヴ諸条約第一追加議定書」という。)および「1949年8月12日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書」などの国際人道法においては、軍人・軍用物と文民・民用物を明確に区別し、文民・民用物が軍事目標への攻撃の巻き添えになることを防ぐことが基本原則のひとつであり、この原則に沿った予防的措置を構ずることが要請されています。日本国憲法を持つわが国においては、他の国を攻撃したり、他の国から攻撃されたりすることは決してあってはならないことです。しかし、文民たる一般市民がどんなことがあっても戦火に巻き込まれないようにするために、文民・民用物が存在する住宅地や商業地域の内に軍人・軍用物の存在を許さないことが求められているのです。
2000年6月の国立市平和都市宣言には、「世界では、いまだに戦争が絶えず、核兵器使用の脅威はいぜんとして消えていません。私たちは、世界で最初の核被爆国の市民として、世界の平和の実現のために努力していく責任があります。この世に、「正しい戦争」などというものはありません。地球上に、もうこれ以上の血を流してはなりません。私たちは、あらためてこれまでの戦争と暴力のなかにたおれた多くのひとびとの悲しみと苦しみを思い、自由で平和な世界の実現のために力をつくします。新しい千年紀にあたり、私たち国立市民は、平和への強い意思を世界中のひとたちに高らかに宣言します。」とあります。わたしたちは、過去の悲惨な経験から、二度と戦争をしない憲法を勝ち獲り、平和に生きることの大切さを学んできたはずです。わたしたちは二度と再び戦争をしてはなりません。再び国民、市民の犠牲を生んではなりません。この国を、再び「戦争ができる国」にしてはなりません。そして、「戦争ができる国」を次世代に残してはなりません。
国立市平和都市宣言に謳われているように、この世に正しい戦争などというものはなく、住民の生活と環境を守るためには、平和の維持こそが唯一の有効な手段であることを確認し、ジュネーヴ諸条約第一追加議定書に規定されている「無防備地区」成立のための4条件を積極的にみたすことにより国立市平和都市宣言の精神を具現化するまちづくりを実現するために、ここに国立市平和都市条例を制定します。
第1条 (目的)
本条例は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。」と定めた日本国憲法の平和主義の理念、わが国の国是である非核三原則、およびジュネーヴ諸条約などの国際人道法の精神に基づくものである。本条例はまた、国立市平和都市宣言(2000年)および国立市議会が採択した国立市非核武装宣言(1982年)に示された理念を現実のものとするために国立市がとるべき施策および行うべき事務について規定し、平和を守るための国立市の責務を明確にすることにより、住民の生命と財産を守ることを目的とする。
第2条 (平和的生存権の保障)
1 国立市に居住するすべての人は平和のうちに生存する権利を有する。
2 平時のみならず戦時および武力攻撃予測事態や武力攻撃事態等においても、その目的の軍事、非軍事を問わず、日本国憲法の定めに反して、人権の侵害、また景観、文化環境および自然環境の破壊がおこなわれてはならない。
第3条 (市の責務)
1 国立市は戦争に関する事務をおこなわない。
2 国立市は新たな軍事施設の建設を認めない。
3 国立市は既存の軍事施設の撤去・廃止が実現するよう努力する。
4 国立市はその他第1項乃至第3項の規定に反する行為をおこなわない。
第4条 (非核政策)
1 国立市は非核三原則を遵守し、市内における核物質の製造・配備・貯蔵はもとより、その持ち込み・飛来・通過をも禁止する。
2 国立市は劣化ウラン兵器を含むすべての核兵器やその他の大量破壊兵器の製造、運搬、使用等を禁止し廃絶するための措置を、わが国ならびに関係諸国の政府、国際連合をはじめとする国際機関、関係諸団体などに働きかける。
第5条 (無防備地区の積極的運用)
1 国立市は、市内に戦闘員、移動可能な兵器および軍用設備が存在しない状態が維持されるよう努める。
2 市内に固定された軍事施設がある場合、それらを敵対的な目的に使用してはならない。
3 国立市は、敵対行為を認めない。
4 国立市においては、軍事行動を支援する活動をおこなってはならない。
5 ジュネーヴ諸条約第一追加議定書第1条に規定される事態に際しては、同第59条の規定に基づき、第1項乃至第4項に示された4条件をみたす地域を、国立市は無防備地区と宣言する。
第6条 (平和行政の推進・予算の計上)
国立市は恒久的な世界平和の実現のために次の各号の事業を実施する。
(1)平和の確立および推進のための国内および国際交流・協力事業、特に他の地方自治体との交流・協力やアジア地域の諸都市との平和友好関係の維持
(2)学校教育および生涯教育・市民教育の場での平和教育の充実・推進および平和意識の啓発・広報活動
(3)平和記念物の保存・展示および平和推進のための拠点となる施設の整備
(4)平和の確立および推進のために市民がおこなう事業に対する援助および助成
(5)その他、以上の各号に準じ条例の趣旨に沿う平和の確立および推進のための事業
2 国立市は前項各号の事業の実施に必要な費用を毎年予算に計上する
第7条 (条例の施行細則)
本条例の施行に必要な事項は、別途規則で定める。
付則
1.本条例は公布の日から施行する。
2.本条例は公布後すみやかに、英語およびフランス語の翻訳文を付けて、国際連合事務局およびわが国と外交関係のある諸外国の在日公館に送付する。
